眩暈(めまい)と漢方薬について

頭を抱えている女性の画像です

自分や周囲が動いていないのに、動いているように感じる感覚障害の事です。

「ふわふわして地に足がつかない感じがする」
「気圧の変化や季節の変わり目になるとめまいが出やすい」
「病院で検査したけど異常がない」

などおっしゃられる方が多いです。

漢方薬局では非常に相談の多いお悩みです。

漢方で良くなる方が非常に多く、お悩みの方には漢方専門の医療機関を是非ご利用いただきたいです。

漢方では、水の巡り・気血の不足・自律神経の乱れが主な原因として考えます。
そして、お体の状態や体質にあった漢方薬をお飲みいただく事で改善し、眩暈が出にくいお体への体質改善が出来ます。

西洋医学でのめまいの原因

耳・脳・自律神経の異常により引き起こされるといわれております。

からだの平衡感覚は、目・耳・全身で受け取った情報を脳で整理することで得られます。この流れの中でどこかに異常があると症状として眩暈が現れます。

①内耳の異常(約60%)

内耳のリンパ水腫によるメニエール病、耳石が三半規管に入り込むことによる良性発作性頭位めまい症などが代表的なものとして挙げられます。

内耳が原因の眩暈では、耳鳴りや難聴などを伴う事が多くあります。

②脳の異常(約10%)

全身から受け取った情報を基に平衡感覚を適切にするのが脳の役割です。この脳に異常が起きた時に起こる眩暈です。
脳梗塞、くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍などで引き起こされるめまいが代表的なものです。頭痛、手足のしびれ、ろれつが回らない、意識障害などを伴う事が多いです。

脳梗塞の後遺症での眩暈などの相談はございますが、急性期では命にかかわるので早めに脳神経内科や脳神経外科を受診してください。

③自律神経の乱れ

たった時にクラクラする、季節の変わり目や気圧の変化があるときにふらつく、更年期障害でのめまい、貧血でのめまいなどがあげられます。立ち眩みと表現されることが多い。

④その他の眩暈

高血圧・低血圧・高脂血症・不整脈などの循環器の異常、熱中症・発熱・脱水などの体調不良からのめまいなどもございます。

漢方(中医学)でのめまいの考え方

①痰濁中阻 水の巡りが悪い

胃腸の働きが悪い方、お酒や脂っこい物や水分の過量摂取は痰濁(体内の不要物)をため込みます。
この痰濁が脳に影響し、眩暈が生じるタイプです。

からだが重だるい、頭がぼんやりする、食欲不振、悪心、舌の苔が厚いなどの随伴症状を兼ねることが多い。

痰濁を取り除く漢方薬が必要であり、半夏白朮天麻湯などが用いられます。半夏白朮天麻湯は原典により処方構成が異なります。日本で流通している半夏白朮天麻湯は黄耆や人参などの補剤が入る処方であるため、痰濁をとって眩暈を治すとなると時間がかかりやすいです。その分、長期にわたって安心して飲みやすいという特徴もございます。

②肝陽亢進 自律神経・ストレスからの眩暈

ストレスなどの精神刺激により、肝の疏泄(体内のバランスを保つ働き)が失調する。この状態が改善されないでいると熱化して陰虚(潤い不足)となり眩暈を引き起こします。

イライラしやすい、怒りっぽい、不眠、多夢、口が苦い、耳鳴、頭痛、目の充血などを伴う事が多い。

潤いを補い、肝の働きを抑える漢方薬を用います。天麻鈎藤飲といった処方が中国では一般的ですが、日本にはない処方です。日本では瀉火利湿顆粒や釣藤散などが使われます。

瀉火利湿顆粒の画像です

③気血不足

慢性疾患や胃腸虚弱などで、気(エネルギー)血(栄養)が足りずに脳を滋養出来ずにおこるめまいです。
心身疲労で誘発されたり悪化する。

血色不良、疲れやすいなどを伴う事が多い。

気血を増やし、頭部まで昇清させる処方を用いる。
心脾顆粒、補中丸などがこのタイプには良い。心脾顆粒の画像です

④腎精不足

中医学では脳は髄の海と呼びます。腎に蓄えられている精は髄を生じます。
先天的な腎精不足、加齢や房事過多などで腎精を消耗し髄を生じる機能が低下するとめまいを引き起こす。

このタイプには腎精を補う漢方薬を用います。杞菊地黄丸などを用います。特に動物性生薬は腎精を補う働きが植物性生薬よりも強いです。亀鹿仙や参茸補血丸といった動物性生薬配合補腎薬をがおすすめです。

めまいの漢方まとめ

めまいは漢方薬で良くなることが多いのでお悩みの方は漢方薬の服用がお勧めです。

めまいの漢方はお体の状態で使い分ける必要があるため、是非専門家にご相談ください。
様々な生薬を組み合わせるオーダーメイドの煎じ薬が更におススメです。
(参考:煎じ薬が効果的である4つの理由

最後にめまいは日々の生活でのダメージの蓄積から出ることが多いです。胃腸を大事にし、自然に触れるなどのストレスケアをするように心がけていきましょう。