妊娠力を高める不妊症の漢方

〇不妊症とは

日本産科婦人科学会では妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、1年間でご妊娠に至らないことを言います。現在6組に1組の夫婦が不妊症であるといわれています。そして、年々増加傾向にもあると言われております。

現在、不妊治療の技術も向上しております。そして西洋医学のみならず漢方薬も不妊症において大きな力を発揮できます。漢方では本来ひとが持っている妊娠する力を引き出します。40代でも自然妊娠される方も見えます。

〇悠伸堂(ゆうしんどう)で出来ること

①生理周期を整える
②卵の質を上げること
③着床しやすい子宮状態にする
④周期調節法
④出産まで安心して過ごせる体つくり

〇生理周期を整える

正常な生理周期のポイント

正常周期:25-35日

・短い場合:体内に熱がこもっている、力をとどめておくためのパワー不足など
・長い場合:卵を育てる力不足、血流が悪く栄養分が届きにくいなど
 周期が長い方の漢方の考え方 短い方の漢方の考え方 周期がバラバラになる方の漢方の考え方

正常な生理期間:3-7日

・短い場合:子宮・卵巣への栄養分不足
・長い場合:必要な物をとどめる力不足、熱がこもっているなど

体温上昇が遅い

・卵の発育が不十分
・気血の滞りがあり、スムーズに排卵できていない

全体的に体温が低い

・体の温める力が弱い(陽虚)

全体的に体温が高い

・潤い分が不足している
・ホルモン治療を受けている

体温がジグザグ

・ホルモンバランスが乱れやすい状態
・ストレスの多い方
基礎体温がガタガタする!漢方の考え方と日常生活について。

基礎体温の測り方はこちらをご参考にしてください。
その他にも周期のポイントはたくさんあります。ご妊娠の為の第一歩は生理周期を安定して授かり体質になる事です。一人ひとりのお体の状態を見極め適切な漢方薬をお飲みいただくことが大切です。

〇卵の質を上げる

受精、分割、ハッチング、着床という流れを経るとご妊娠ということになります。
そしてすべての段階で受精卵の質が大切です。女性の卵子は、生まれた時に数が決まっており新たに作りだされることがありません。いかにして育ちやすくするかがポイントとなります。実際に体外受精をされている方が漢方薬をお飲みいただき、胚盤胞まで育つ割合が増加する方、受精卵のグレードが良くなる方もみえます。
卵が育つまで

                     (引用:病気が見えるVol.9 婦人科・乳腺外科)

ご妊娠するためには卵が育つだけではなく、良い卵が育つ必要があります。上の図は卵が発育するまでにかかる期間を表しています。卵が育つ期間は生理が来てから排卵までの約14日間ではないのです。明確な期間は解明されておりませんが、卵母細胞から排卵するまでには半年以上かかるといわれております。月経から排卵までの卵の成長にはホルモンが大切ですが、それまでの卵の発育には血流が大切です。卵の質を上げるためには、卵巣への血流が大事です。そして卵巣へ卵の栄養を届ける血管である卵巣動脈は細い血管です。卵巣動脈の血管の血流をよくするためには、体のバランスを整えれるように自律神経のバランスを整えることが必要です。血流に加え、卵を育てる力も必要です。血流がよくなるだけでなく、気血が充実した状態で卵まで血流をよくすることが必要とされます。悠伸堂では血流と卵を育てる力を漢方で高めさせていただきます。

女性は7の倍数で体が変化すると素問の上古天真論にあります。28歳がピークで35歳から衰えがみられることが多いです。卵の質も一緒です。35歳以上の方は子宮・卵巣・ホルモンの力と密接に関係する『腎』を補う事が必要不可欠です。特に効果が高い動物性の補腎薬がお勧めです。

〇着床しやすい内膜

着床までできてご妊娠の成立です。受精卵が着床しやすくなるためには、子宮内膜の状態がよくなる必要があります。
内膜についてはまず厚さが大事です。赤ちゃんが眠るベッドは厚みがあるのがいいですね。病院によっては内膜の厚さが8mm以上でないと移植しないなどもあります。そして、内膜の厚さは経血量と相関します。子宮内膜が薄い方や経血量が少ない方は、体の栄養分である血補う補血薬や潤い分である陰を補う補陰薬を用いる必要があります。
また、子宮内膜は厚さのみならず質も大切です。

引用:カラーアトラス 不妊治療のための卵子学

上の図は着床期(implantation window期)はピノポードといわれる構造が見られます。このピノポードがしっかりした内膜の状態だと着床しやすくなります。内膜においても厚さより質が大事だと悠伸堂では考えております。そして、内膜の質を高めるためにも血流が充実することが不可欠です。

〇周期調節法(周期療法)

生理周期内で女性の体は変化します。周期調節法(周期療法)では女性の周期に合わせ、自然な周期をサポートする方法です。悠伸堂では基本的な体質を一番に考えますが、周期調節法も併用し周期内の時期ごとに適切な漢方薬を用いて妊娠しやすく致します。

女性の基礎体温と女性ホルモンの変化

上の図は女性のホルモンバランスの変化を示した図です。それぞれの期に合わせた治療を紹介いたします。

①月経期

赤ちゃんの宿る子宮をきれいにします。
治療法:活血+理気   生薬:紅花、鶏血藤、丹参、桃仁、香附子、柴胡、木香、三稜、莪朮など
漢方薬:桂枝茯苓丸 芎帰調血飲 冠元顆粒など

②卵胞期(低温期)

ホルモンにより卵・子宮内膜が育つ時期。育ちをサポートする。
治療法:滋陰+養血   生薬:地黄、女貞子、旱蓮草、枸杞子、当帰、芍薬、黄精など
漢方薬:六味地黄丸 二至丸など

③排卵期

卵子が卵巣から出るのをサポートする
治療法:理気+活血   生薬:牛膝、桃仁、淫羊藿、丹参、川芎、柴胡、香附子など
漢方薬:芎帰調血飲 冠元顆粒 牛膝散など

④黄体期(高温期)

赤ちゃんのベッドである内膜を温かく柔らかくし、着床状態を維持しやすくする
治療法:温補腎陽    生薬:地黄、菟絲子、続断、杜仲、淫羊藿など
漢方薬:参馬補腎丸 参茸補血丸など

〇出産まで安心して過ごせる体づくり

質の良い受精卵、着床しやすい内膜とすることで流産しにくくなります。それだけではなく、妊娠中の漢方薬も有効です。気血を充実させて赤ちゃんが育ちやすいようにするのみならず、安胎薬と呼ばれる生薬を用いてサポートいたします。安胎薬と呼ばれる生薬には、杜仲、続断、白朮、砂仁、竹筎、黄芩などございますが、体質による使い分けも重要です。

妊娠中には様々な体調不良がございます。西洋薬では妊娠中に服用できるものが限られます。漢方薬は妊娠中でも服用できるものがあり、様々なトラブルにも対応することが可能です。

妊娠初期
つわり、倦怠感、頭痛、眠気、食欲不振

妊娠中期以降
お腹のはり、切迫流産、切迫早産、腰痛、便秘、痔、おりもの、足のつり、吐き気、頭痛、微熱、体のだるさ、眠気、イライラ、マタニティブルー、頻尿、尿漏れなど

妊娠中のお体を整えることで安心して育児できることにもつながります。妊娠後も是非サポートさせていただければと思っております。

〇まとめ

●妊娠するためには、授かりやすい体質に変わることが大事
●卵の質を上げることが大事(しっかり上がるためには半年以上)
●内膜の状態をよくすることが大切(質と厚さ)
●周期調節法は周期内での妊娠をしやすくするお手伝い
●流産予防のみならず妊娠後のケアも漢方で

悠伸堂薬局(ゆうしんどう)で上記のお手伝いができます。現在は愛知県岡崎市、豊田市、安城市、幸田町、蒲郡市の方までご相談にお越しいただいております。

参考記事 一覧

不妊症の原因に少なからず男性側の問題もあります。
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