生理周期が長い方の漢方薬の考え方

経遅(けいち)とは

簡単に画像を作ってみました。少し不自然で申し訳ございません。僕のPCスキルではこれが限界なのです。
周期が長いとはどういうことなのか西洋学的な角度と東洋医学的な角度でお話ししていきます。一般的に排卵まで17日以上かかるという方は低温期が長いと判断しております。

卵の発育から

女性の卵は生まれた時に数が決まっており増えることがなく、育てる事しかできません。生まれた時は約200万個、思春期の初潮があったときで20~30万個ほど。1周期ごとに1000個ほどの卵が減少します。
生理周期で考えると、何個もの卵が同時に発育しはじめ、最も優秀な卵がその周期に排卵する卵(主席卵胞)として発育を始める。そして、約20mmの大きさまで卵胞が育つと排卵し、卵子が飛び出した後の卵胞が黄体となります。同時に体温は黄体ホルモンの影響で高温期へと移行します。この高温期は基本的には14日を超えません。超えた場合はおめでとうございます。ほぼ妊娠です!

つまり、周期が長いということは低温期が長くなっております。上の図のような周期の場合、42周期だからその真ん中たりの21日目あたりで排卵日でその時にタイミングを!とはならないでくださいね。排卵は28日目以降がほとんどです。

周期が長い=低温期が長い

西洋学的に周期が長くなる原因は、卵の発育が良くない、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、高プロラクチン血症、甲状腺機能低下症などがあります。どれも卵が発育しにくいってことになりますが。PCOSでは育つ卵が多くて、排卵までたどり着けるまでの卵の発育が未熟になってしまいます。高プロラクチン血症では、乳汁分泌ホルモンであるプロラクチンが高くなり卵が発育しにくくなってしまいます。甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンを出すために脳の視床下部や下垂体の働きに変化が出て卵が育ちにくくなります。どうやって卵を育ちやすくするかがポイントですね。

漢方の考え方

漢方薬の考え方は西洋薬の病名などでは決まらず、体質やお体の状態を考えていく必要があります。そして、適切な漢方薬をお飲みいただくことで生理周期が整ってくるのみならず、プロラクチンや甲状腺ホルモンの数値が良くなる方も見えます。

①冷えがあるタイプ

体を温める力が弱い状態を陽虚と言います。中医学では卵胞期(低温期)は陰の時期、黄体期(高温期)は陽の時期です。陽虚の方だと、陰から陽に変化するパワー、簡単に言うと起爆力がないといった状態です。その為、排卵して高温期に移行するのに時間がかかってしまうタイプです。このタイプでは温めていく漢方をしっかり用います。

②パワー不足、栄養不足

卵を育てるための栄養分が不足しているタイプです。中医学でいうと気血不足という状態です。このタイプの方には気血を補う漢方薬を補う、食べた物を消化吸収して気血を作れるように整えるなどが必要です。

③巡りが悪いタイプ

血流が悪く卵まで栄養分が届きにくくなり、卵胞の育ちが悪くなってしまっているタイプです。血流を良くする活血薬を用います。ただ、血流が悪い瘀血というのには他に原因があるのがほとんどです。ストレスがあって自律神経のバランスの乱れから血流が悪くなるパターンや冷えから血流が悪くなる、不要物(痰濁)が邪魔して血流が悪くなる、血液を送り出す力不足から血流が悪くなるなど様々。そういったところを鑑別して血流を良くする必要があります。

おおまかな3分類を紹介させていただきました。

まとめ

不妊症でお悩みの方に周期が長い方は多いです。周期が長いからと言って全く妊娠しないということはありませんが、適切な周期になるとご妊娠しやすくなります。

先日悠伸堂でご妊娠された方ももともと周期が長かった方。時に3か月生理が来なかったなんてこともありました。
妊娠されたタイミングは周期が短く整ってきた時でした。基礎体温で排卵日を予測すると生理予定日は正常周期の範囲の33日目になるところでした。

子宝をお望みで、周期が長い方は東洋医学での治療も視野に入れていただければと思います。

愛知県岡崎市の漢方薬局 悠伸堂(ゆうしんどう)