しゃっくりについて
しゃっくりは皆様経験されていることが多いのではないでしょうか?
しゃっくり出た時どうしますか?
写真のように頭を下にして水を飲む、息を止める、誰かにびっくりさせてもらうなど様々な対処法がありますね。
今回は毎日こみ上げるような吃逆があり、色々な対処法をするも止まらず、寝て朝になれば収まっていることもあるが止まらないこともあり日常生活に支障をきたす酷い吃逆の方が改善された症例のご報告です。
ひどい吃逆の相談はあまり多くなく私はこれまで3例しか診たことはないですが、3名とも改善しており中医学の有効性が高いと考えています。
悠伸堂にお越しくださる方は病院で良くならないから、漢方でという方が多いです。しゃっくりもその類ですね。
吃逆(しゃっくり)というのは西洋学的には横隔膜が痙攣している状態です。
西洋医学では筋弛緩薬などで筋肉の緊張をほぐす薬や心を落ち着かせる薬が出されることが多いです。
東洋医学ではどう考えるのか?
気の巡りの逆行の気逆、胃の症状と考えることが多いです。横隔膜の痙攣なのに胃の病態として考えていいのかと思われますが、それでいいんです。(気逆については気の運行についても書かせていただいたこちらを参考にどうぞ)
ちゃんとお体の状態を把握して弁証すれば良くなります。
中医学のしゃっくり呃逆(やくぎゃく)の分類です!
①胃寒
胃が冷えているしゃっくりです。温めると良くなり、冷えると悪化するのがポイント。重くて力のあるしゃっくりが多い。
②胃熱
胃に熱をもっているしゃっくり。口臭や口渇を伴う事が多く、脂っこいものを食べると悪化する傾向がある。強い吃逆がでる。
③胃陰虚
胃の潤い不足で、胃の下へ降ろす働きが低下してでる吃逆。口の乾燥、口渇を伴い、間欠的な強くないしゃっくりがでる。
④脾腎陽虚
体の底から温める力が弱いかたのしゃっくり。手足の冷え、倦怠感、食欲不振、足腰のだるさなどを伴う、持続性の弱い吃逆がでる。
⑤肝鬱気滞
肝の体のバランスを整える働きが乱れて、胃の下へ降ろす働きが失調することで出るしゃっくり。ストレスで悪化するのがポイント。
しゃっくり(呃逆)の症例
今回改善された方:40代 男性
相談にお越しいただいたとき、肩が浮き上がるほどのこみ上げるしゃっくりが絶えず出ていたことを覚えています。
4か月前よりしゃっくりが出るようになり、いったん出ると何をしても止まらない。寝て起きると良いことが多い。
病院でしゃっくりの薬をもらったが全く効かず。
元々胃が丈夫ではなく、脂っこい物で胃もたれが出る。胃がもたれるとしゃっくりが出る。その為、しゃっくりが仕事に差し支えることもあり食事は夕食のみしている。
仕事が不規則で忙しい時は徹夜になってしまうこともありストレスもある。ストレスでしゃっくりが酷くなる。しゃっくりが出始めたのも仕事が忙しくなってストレスが多くなった時から。
この方の考え方
この方はストレスから始まった事、ストレスで悪化することで⑤の肝のバランスをとる働きがうまくいかず、それが胃に悪影響を起こし②の胃熱にもつながっていると考えました。
お渡しした漢方薬
漢方薬としては胃の熱をとり胃がしっかり動くようにしてあげる事、体のバランスをしっかりとれるようにしてあげることを目的に選ばせていただきました。呃逆の要薬とされる柿蔕(してい)も一緒に服用してもらいようにいたしました。
経過
2週間後:しゃっくりの頻度が減り、週に1回ほど
4週間後:漢方薬を飲んだ日はしゃっくりが出ない
8週間後:ストレスや飲み会で脂っこいものを食べると出る
2か月後:しゃっくりがほぼ出ない。良い感じ。
徐々にしゃっくりが減っていき、今では吃逆で困ることはないような状態です。西洋薬で効かなかったものが飲んでから良くなる。
漢方ではよくあることです。西がだめなら東の角度から、どんなお悩みでもお困りの方は東洋医学を一度試していただくことをお勧めいたします。
呃逆の要薬 柿蔕について
読んで字のごとく柿(かき)の蔕(へた)です。
とっても可愛い見た目ですね。生薬大好きの僕だけしかそう思わないかな(笑)
悠伸堂がある岡崎市ではこの時期お庭に実っているのをちょくちょく見ます。
実や種や根が生薬として使われることが多いのですが蔕も使われるなんて意外ですね。
柿蔕は気を巡らせる生薬で、胃の気が上にあがってくるのを下すためしゃっくりの要の薬とされています。
虚実・寒熱などお体の状態に合わせて配合することで、呃逆に著効するとされています。
日本では柿蔕湯のメインの生薬として使われております。
しゃっくりでお悩みの方は柿蔕湯を試してもいいかもしれないです。論文でも柿蔕湯のしゃっくりに対する効果が証明されておりますので。
ただ柿蔕湯は丁子と生姜という温める生薬が配合されており、冷えている方のしゃっくりに良い漢方薬です。
今回の患者様のように熱があるタイプは悪化させる可能性もあるので注意してください。その場合は漢方の専門家にご相談の上、適切な配合の漢方薬をお飲みいただければ幸いです。
愛知県岡崎市の漢方薬局 悠伸堂(ゆうしんどう)